【シスの歴史 第十話】ダース・サイオンって誰なのさ
三頭政治の最強格、サイオンのおはなしです。
ダース・サイオン(Darth Sion)
後にサイオンとなる男は長い間、逃れられない痛みを耐えて生きてきた。自分の痛みをフォースで具現化して自らの力にすることで苦しみを和らげられることを発見したサイオンは、シスの暗黒卿となった。
シス大戦
やがてエグザ・キューンがジェダイに対して戦争を起こすと、サイオンはキューンの帝国の一員、シス・マローダーとしてジェダイを狩り尽くしていった。サイオンは痛みから解放されるために死を望み最前線で戦ったが、彼に敵う者はいなかった。
彼は単純な強さにおいてはエグザ・キューンを超える力すら手にした。極端に言えば、ライトセーバーで斬られたところですぐに自己再生できるため相手とまともに戦う必要もなかった。それでもなおサイオンが戦い続けたのは、自分を殺すに値するジェダイを見つけるためだった。エグザ・キューンの敗北とともにサイオンは姿を消していたが、それからしばらくしてダース・レヴァンが台頭すると、彼の帝国に参加し再びジェダイを狩り始めた。
レヴァンがジェダイに転身しマラックを殺し帝国が崩壊したのち、生き残ったシスは互いに対立し、その他の者は未知領域に逃げ延びた。
憎しみによる団結などせいぜい脆弱な同盟にすぎん。
──ダース・トレイア
彼の悲願、己の死のためにもジェダイと戦い続ける必要があったサイオンは、同じくジェダイとの戦争を望むダース・トレイア、ダース・ナイアリスと同盟を結び、シスの三頭政治を開始した。
マラコアⅤに拠点を置いたシス卿たちは、トレイアをマスターとして主従関係を敷いた。ナイアリスと同様、サイオンもトレイアから多くを学んだ。ジェダイの頃のレヴァンのマスターを務めたトレイアは、教師としての才能は誰よりも長けていた。
しかし、トレイアの教え方に次第に不満を持ったサイオンは、同じく彼女と対立していたナイアリスと共謀して瞑想中のマスターを襲い、打ち負かしてシスから追放した。2人はジェダイを滅ぼすためにかつてレヴァンがマラコアに作ったシスの拠点でシスの暗殺者たちを養成し、ジェダイを殺すために銀河中に解き放った。その後レヴァンの帝国の残党たちがサイオンに合流してより強大なシスの勢力を形成し、ジェダイ・オーダーは事実上崩壊した。
惑星カターではナイアリス卿が生き残ったジェダイを殲滅したことで、2人によるジェダイ粛清は完了した。しかしジェダイを追放されたミートラ・サリックの存在は、シスにとっては滅ぼしたオーダー以上の脅威であった。
それはミートラの潜在能力だけでなく、追放したトレイアがシスへの復讐のためにミートラに暗黒面を教えていたからでもあった。
何度死んでも何も学ばなかった、それがお前の過ちだ。
──クレイア(トレイア)、サイオンへ
ダース・ナイアリスが敗北したのち、サイオンはトレイアの脅威を強く認識した。しかしサイオンが放ったシスの暗殺者たちはトレイアとミートラによって全滅し、奇しくもサイオンは彼らに対して尊敬や賞賛をも超えた特別な感情を抱き始めた。
ついに...ここを離れることができるのか。
──ダース・サイオン
実際にミートラはもはやサイオンの力を凌駕していた。しかし何度斬りつけられても再生し、少なくとも常人なら4回死んでいるであろう傷を受けてもなお再生を続けるサイオンに対し、ミートラは別の角度で攻めることにした。ミートラはサイオンの弱さは希死念慮を盾にしてフォースを甘んじて受け入れようとしないことだと説明し、驚いたことにサイオンは否定することなく全てを受け入れた。ミートラにトレイアの脅威を留めておくように忠告した後、遂に自分の死を許し、世界に平穏を見出してフォースと一体化した。
→第十一話に続く